欲しがりな幼なじみ
「……心配してくれてありがと。でも小さい子供じゃないんだし、わたしは大丈夫だから」
そう言って、わたしは教室の中へと入った。
……由良くんは、やっぱり時々意味が分からない。
わたしのことが好きじゃないなら、中途半端に気にかけることないじゃん。
ずっと無視して、冷たくしてればいいじゃん。
わたしばっかり、由良くんのこと想っていて、なんだかバカみたいじゃん。
そんなことを考えながら、自分の席へと座る。
「なんていうかさ、」
「え?」
わたしの前の席のイスに座りながら、志保は笑った。
「由良くんって、不器用なんだね」
「不器用?」
「それに、あんた達の会話ずっと横で聞いてたけど、ちょっと由良くんに同情するわ」