欲しがりな幼なじみ
□幼馴染とキスマーク
思うに、由良くんと幼なじみであるわたしの特権は、
「……なにしてんだよ」
「やぁ、由良くん。おかえり。バイトお疲れ」
由良くんの部屋に自由に入れることだ。
制服姿で少し疲れ気味の由良くんは、ドアを開けてわたしの顔を見るなりため息をついた。
対してわたしは、お風呂上がりの部屋着姿で由良くんのベッドに寝転んでいた。
スマホで時計を確認すると、夜の23時になったばかりだった。
「バイトの日だとこんな遅い時間に家に着くんだね。疲れたでしょう」
「お前、なんでいるんだよ」
「由良くんのお母さんが入れてくれたよ」
「あー……くそ」
「口が悪いなぁ」
勉強机にカバンをドサっと置いて、そのままイスに座った由良くんは、「帰れよ」とそう言った。