欲しがりな幼なじみ
その言葉に少しムッとする。
そんな言い方しなくても。
「帰らないよ」
「なんでだよ」
「由良くんに用があって来たんだもん」
わたしは、すぐそばに置いていた国語の教科書を由良くんに見せた。
「現代文の課題、一緒にやってもらいたくて」
わたし、数学とか化学は得意なんだけれど、現代文が大の苦手なんだ。
筆者の言いたいことを述べよ、とか、主人公の気持ちを最も表す文を書き出せ、とか。
なにそれ、分かるわけないじゃんって。
わたしが現代文が苦手だってこと、由良くんも知ってる。
そしてわたしは、由良くんは、用があれば部屋から追い出さないってことも知ってる。