欲しがりな幼なじみ
「そう言うなら家出る時間ズラせばいいのに。ほんっと素直じゃないなー」
マンションのエントランスを抜けて、駅までの道のりを微妙な距離感で歩くわたしと由良くん。
一応由良くんに向かって言ったつもりの言葉も、相変わらず彼に無視された。
由良くんは、わたしの大事な幼なじみ。
親同士仲が良くて、今住んでいるマンションで17年間一緒にいる。
中学の時までは、お互い下の名前で呼び合うくらいに仲が良かったはずなのに、
高校生になってから由良くんはだんだん冷たくなってしまった。
「由良くん、ねぇ今日バイト?」
「……」
「バイトじゃなかったら一緒に帰ろうよ」
「……」
今じゃこんな調子だ。