欲しがりな幼なじみ
どうしていつも不機嫌なのか、わたしには理由が全く思いつかない。
由良くんの機嫌を損ねるようなことした覚えないし。
『間もなく、二番線に電車が参ります───』
駅のホームに着くまで会話らしい会話もなく……まぁ、もう慣れたけどさ。
わたしが、勝手に由良くんについて行ってるみたいなものだ。
でも、こうでもしなきゃわたしから離れていっちゃう気がするんだもん。
由良くんは大事な幼なじみだから、そんなこと意地でもさせない。
「……おい」
「なに?」
「それ、やめろよ」
スクールバックを肩にかけてポケットに手を入れて、後ろに立つわたしを横目に顎をクイっと動かして"それ"を指す由良くん。