欲しがりな幼なじみ
「結佳ちゃん、男子の間で人気なんだよ。美人でさぁ。スタイルもいいし」
わたしの長い髪にスルリと触れる史哉先輩。
口角を上げてニヤリと笑うその姿に、わたしは嫌悪感を抱いた。
「誰が結佳ちゃんの彼氏になれるかって、結構盛り上がってるんだよね」
……なに、それ。
「けどさぁ、ほら、あの幼なじみがいつも隣にいるじゃん?だから結佳ちゃんに話しかけるだけでも一苦労するんだわ」
その言葉を聞いて、あぁこの人は由良くんの言う通りろくでもない男だ、と。
そう思って慌てて先輩から離れようとすると、
「あーほら、逃げんなって」
「ちょっ、やめてください!」
強い力で腕を掴まれたと思えば、先輩はすぐそばの空き教室の扉を開けた。