欲しがりな幼なじみ
史哉先輩に向けられた声はとても冷たくて、
それなのに、後ろからわたしのこと抱き寄せた手は優しくて。
「由良くん……」
自分でもビックリするぐらい、わたしの声は弱々しくて。
「いーんですか。ただでさえ悪い噂ばかりなのにこんなことして」
「チッ……空気読んでよ。幼なじみくん」
由良くんの圧に、先輩は怯んでいるみたいだった。
「悪いけど、無理です。……コイツ、大切な奴なんで」
ギュッと、わたしを抱きしめる手に力がこもった。
わたしは、由良くんの言葉に、ただただ驚いた。
だって、いま……。
「次、結佳に手出したら今度はただじゃおかない」