欲しがりな幼なじみ
悔しそうに去っていく先輩の後ろ姿が見えなくなった時、
わたしは思わずその場に座り込んだ。
冷や汗をかいている。
わたしは、相当あの状況を怖がっていたんだと、そう思った。
由良くんが来なかったら……って考えると、恐ろしくなってくる。
「……バカじゃねぇの」
上から由良くんの冷たい言葉が降ってきた。
由良くんの言葉を無視したわけじゃない。
わたしは、わたしなりに史哉先輩には気をつけようと考えていた。
けれど、実際危ない目に合ってしまったから。
由良くんに顔を向けられない。
そんなわたしに、由良くんはハァとため息をつく。
「おい」
わたしの前にしゃがんで、顔を覗き込む。