欲しがりな幼なじみ
「あ、れは、勢いで口から出ただけだから」
片手の手のひらで自分の顔を覆う。
隠そうとしているけれど、少し顔が赤くなっているの、バレバレだ。
「……ていうか、どうしてこんな時間まで学校にいたの?」
由良くんはいつもならとっくのとうに帰ってる時間だ。
わたしがそう聞くと、由良くんはさらに顔を赤くした。
「…お前が……だろ」
「え?」
キッと、真っ赤な顔でわたしを睨んで、由良くんは言った。
「お前が!いつもの場所にいないからだろっ」
その言葉に目を丸くする。
わたしは、帰りはいつも靴箱で由良くんのことを待っている。
ただ、今日は。
今日は由良くんと帰るのはなんとなく気まずくて……。
それなのに由良くんは、わたしが来るのを待っていたの?