欲しがりな幼なじみ
■幼馴染に意識する
朝、いつもの時間。
わたしは由良くんの家の玄関のチャイムを鳴らした。
ガチャリと音を立てて開いたドアから、由良くんが少し眠そうな顔をして出てきた。
「……おはよう、由良くん」
「……ん」
ぶっきらぼうに返事をして、いつものようにわたしの前を歩く由良くん。
そう。
いつもと変わらない。
いたっていつも通り。
マンションを出て、駅への道を歩いて行く。
わたしは、制服の上からそっと鎖骨の下あたりを指でなぞった。
由良くんに突然付けられたキスマークは、もうすっかり無くなった。
お風呂の鏡で見るたびに、その時のことを思い出してしまうから、わたし的には良かった。