欲しがりな幼なじみ


史哉先輩との出来事は、次の日少しだけ噂になっていた。

わたしが先輩を誘惑したとか、そんな感じの噂。

まぁ、どうせ先輩が自分で流したものだ。


だけど、史哉先輩はもともと周りからの評判が悪かったから、そんな噂は誰も信じていなかったみたいで。

1日も経てば、そんなことを面白おかしく話す人は居なくなっていた。



キスマークも、史哉先輩とのことも、もう今では綺麗さっぱり無かったことになっている。


いつも通り、なんだけど。




「おい」

「ぅわっ、」



いきなり由良くんが腕を引っ張った。

バランスを崩したわたしは、ポスリと由良くんの胸に。


その瞬間、自転車が勢いよく私たちの横を通り抜けた。




「何ぼーっとしてんだよ」

「……」

< 53 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop