欲しがりな幼なじみ
ドキドキする胸をおさえる。
今までこんなことなかったのに。
由良くんと一緒にいて、こんな風になったこと、ないのに。
「おい」
「っひ、」
いつのまにか隣にいた由良くんに、心臓が飛び出そうになる。
私の反応に、由良くんは眉を寄せた。
「なんだよ、それ。感じ悪りぃんだけど」
「お前、最近おかしい」なんて、そう言いながら顔を覗き込んできた由良くん。
感じ悪い、とか、由良くんが言えたことじゃないでしょう。
いつもなら、こう返すところなんだけど……。
「ち、近いってば……!」
今のわたしじゃ、無理。
そんなことを言える余裕がない。
「……」