欲しがりな幼なじみ
「なんで萩原が謝んの。俺は大丈夫だから」
由良くんの、優しい顔に
由良くんを受け入れているその子の姿に、
モヤっと、心が曇っていく。
「……」
わたし、最悪。
あの子は、体調が悪いだけで
由良くんはあの子を心配してるだけ。
それなのに、わたし、今、何を考えてた?
ブンブン、と首を振る。
わたしは、由良くんのただの幼なじみ。
由良くんは、優しくてカッコいいわたしの自慢の幼なじみ。
それだけで、いいのに。
「あら。どうかしたの?怪我?」
「あっ」
職員室から戻ってきたのであろう先生が、心配そうな顔をする。
わたしは慌てて「大丈夫です」と言って体育館へと戻った。