欲しがりな幼なじみ
『結佳はすぐ風邪引くから、俺心配』
『うー……ごめんね』
まだ小学生だった頃、わたしが風邪を引くと、由良くんはわたしの側を離れようとしなかった。
由良くんのお母さんが手を引いて家に連れ帰るまで、由良くんはわたしの手を握ってくれてた。
"由良くんは、わたしにだけ、触れていればいのに"
こんなことを考えてしまった自分が、すごく嫌だ。
授業中の静かな廊下を、とぼとぼと歩いていく。
由良くんは、優しい。
そうだ、小さい頃からいつも人を気遣っていて、困っている人を放っておかないような子だった。
誰にでも、優しいんだ、由良くんは。
……ということは、この前、先輩から私を助けてくれた時も、由良くんの優しさから。