欲しがりな幼なじみ
呆れた顔をして、由良くんはそこに立っていた。
30分早く起きたのに……なんでいるんだ。
「あ、あーっと、私忘れ物……」
こうなったらもう意地だ。
家の中に戻ろうと由良くんに背中を向ける。
けれど。
「結佳」
「ぅ、」
名前を呼ぶのは、ずるい。
あと、名前を呼ばれただけなんだから、一々ドキッとするな、私。
こんなの日常茶飯事だったでしょうが。
「行くぞ」
そう言った由良くんは、いつものようにスタスタと歩いていく。
……いや、やっぱりいつも通りじゃない。
ねぇ、由良くん。
君は一体なにを考えているの。
「あの、この手、離してくれないかな」