願いを込めて
取り敢えず、先程まで飛びかかっていた理性が戻って来るのを感じると共に、私は地味に吐き気に襲われかけていた。



自分の喉を蓮の血が通るたびにそれを吐き出したくなってしまう。



胃は他のものを求めて泣き叫んでいるし、もう辛過ぎて辛過ぎて。



(フィラデルフィア染色体、どのくらいあるのっ…?私どのくらい飲めばいいかな、もう終わらせていいかな、?)



病人を助ける為にその人の血を飲んだ経験のある父は、その人の血を飲んで帰宅した後、胃の中のものを全て吐き出し1週間は寝込んでいた。



また、同じ経験のある母は帰宅して夕飯の準備をしている途中に倒れ、高熱にうなされた。



両親がこんなに酷い状態になったのだから、その娘の私はもっと酷い状態になるに違いない。



一応覚悟は決めてきたものの、さすがに気持ち悪くなってきた。



「っ、蓮……大丈夫そう、?」



「ん、ちょっとくらくらするかも…。もう止めて欲しいな、」



悲しくて悔しいけれど、その言葉を待っていた。



私はすぐさま彼の血を飲むのを止め、私がつけてしまった傷の部分を舌でなめてから上目遣いで彼を見上げた。



「え、さくらの顔真っ青だよ。大丈夫?」
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