願いを込めて
けれど、それくらいの行為に出ないと私達は暮らしていけないのだ。



せめて1週間に1回は人の血を飲む事が義務付けられているーというか飲まないと弱って最悪の場合死んでしまうー私達の世界では、親族のバンパイアらは週末になると死に物狂いで人や血を探し求めたり、貯蓄してある人や動物の血を飲んだりしている。


最悪の場合は、刃物で自分の皮膚を切ってそこから流れる血を飲む事もする。


それも、生きる為なら仕方ない行為だ。



まあ、どちらかと言えば美味しいのはやはり人の血だから、大抵のバンパイアは人の血を飲んでいるけれど。



けれど、そんな私達も何か大きな理由がない限り人を殺したり怪我を負わせて強制的に血を出させる事はしない。



私達バンパイアが進化の過程で日光に強くなったり十字架やニンニクに抗体が持てる様になったその裏には、必ず恐れずに助けてくれる人間の存在があった。



それに、私達には血液に病気のある人の血を直接飲むと、その人の病気が改善されるという力も持っている。



けれど、病人の血はとても不味く、飲んだバンパイアはそのせいでしばらく寝込んでしまう事がほとんどだ。



それでも、その人の血が不味いと思えるという事は病人の病状が改善されるという事だから、バンパイア達は特に自分の体調の心配はしないで病人の血を吸う事だけに力を注ぐ。
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