願いを込めて
そうやって、古くから私達は人間と所々で連携をとって暮らしてきた。


まあ、どんなにいい事をしても私達が人の血を吸ってその人を殺してしまうという概念は消えないし、私達が怪物である事に変わりは無いのだけれど。




そんな私が、何故わざとバンパイアの仮装を付け加えてまでして病院に来たのかと言うと。



それはもちろん、彼氏である長谷川 蓮(はせがわ れん)に会う為。



というより、彼の血を吸って少しでも病状を良くさせる為。



蓮は、血液中にあるフィラデルフィア染色体というものが異常に増える慢性骨髄性白血病という病気だ。



今は抗がん剤治療等をしながら、骨髄移植を待っている。



けれど、呑気に骨髄移植を待っていたら彼は死んでしまう。



いつだったか、蓮の主治医さんがそうやって言っていたのを聞いてしまったのだ。



だから、私はすぐに結論を出した。



骨髄移植なんかよりも早く確実に彼の病気を治せるのは、私が彼の血を飲む事だと。




蓮は、私の事をごく普通の高校1年生で自分と同い年の人間の少女だと思っている。



だから、今日彼に自分の正体を明かして血を吸うのが死ぬ程怖い。



そもそも、彼は私の事を受け入れてくれるだろうか。
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