願いを込めて
この頃人の血を飲んでいないから、お腹が空いた。



飲みたい。



吸いたい。




「……飲ませて」



この時間を、至福のひとときを誰にも取られたくない。



私にはそれ以上何かを言う余裕もなく、目をらんらんと輝かせながらベッドの上に座っている彼の横に腰掛けた。



「首いっていい?腕とどっちがいい?注射と同じ感じだから怖がらなくて平気だからね」



例え彼を治す為に血液を飲むという理由があっても、それでも早く飲みたい事には変わりない。



半ば急かす様にそう聞くと、



「あー、腕は点滴してるから看護師さんにばれると思うから、腕と首だったら首がいい、かも…?」



と、はっきりしない答えが返ってきた。



それでも、“首から血を飲んで”という風に解釈した私は。



「ありがと、痛かったら言ってね」



我慢出来なくて開いたり閉じたりを繰り返していた手を彼の首に添え、信じられない程白い肌に自分の八重歯を突き刺した。




「ゔっ……!」



やはり痛かったのか、彼は痛みを堪える様に声を上げ、ベッドのシーツを力を込めて掴んで。



横目で彼のその手を見ながら、



「ごめんね、痛かった………?」



私は、蓮の首を流れる血を舌で絡め取って問うた。
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