【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「お仕置きって……何?」


不安そうな顔。頬を親指の腹で撫でると、片目を恥ずかしそうに細めて、身をよじる。


……かわ。


「今から全授業さぼり。帰んぞ」


そう言って、今宵の手を引いて廊下を歩き始めた。


とりあえず荷物を取りに今宵のクラスに入った。


教室に入った途端、ざわっと空気が動く。


「駆くんだ……!」
「うわ、手つないでる、姫と王子!」


そんな声が聞こえる中で、今宵は恥ずかしそうに、俯いている。


「帰るって……でも先生に言わなきゃ……」


「はいはい」


今宵はまじめだね。

仕方ないからルーズリーフに”具合悪いので帰ります!衣川”と殴り書きする。

教卓に置いておいたし。


「行くぞ」


困惑するルイちゃんに、「か、帰るね!」と伝えた今宵は俺に引きずられて。


……ほんと、従順。

< 100 / 344 >

この作品をシェア

pagetop