【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
俺の声にびくっと肩を揺らし、「あ……」と声を漏らす今宵ちゃん?


お前なんで俺以外の男を膝枕なんかしちゃってんの?


「あ、あの!音羽くん……!お願い起きて!」


すげー慌てようじゃん。


俺はつかつかと今宵に歩み寄って、今宵の膝できもちよさそーに寝息を立てるこの意味不明の物体を見下ろす。


どうぞ地獄へ。


問答無用に今宵の腕を引き挙げた。


「きゃっ」


――ゴツっ 


今宵の声と同時に床に頭をうちつけるこの物体エックス。


「……っ、いった」


後ろ頭を押さえながら起き上がるそいつ。


調べたからだいたい知ってる。


音羽 結太郎(おとは ゆうたろう)
隣の市の中学出身でスポーツ万能、頭脳明晰の一匹狼。
中学の時は、水面下でモテていたらしい、そういうやつが。



……なんで 俺の 今宵に近づいてんの?



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