【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
今宵の腕を離して、音羽の前にしゃがみ込んで、寝ぼけた目を鋭く睨む。


「人のモンに触んな」


反抗的に視線を逸らした寝ぼけ面。


……まぁいいや。

立ち上がって、今宵の肩を抱く。



「あ……の、駆くん……」


そんなビビった目で見なくていいよ。


「とりあえず階段降りよーぜ?ここ空気悪い」


くるっと振り返ると、音羽はわざとらしく眠そうに目をこすってあくびまでしている。


ノーダメって言いたいわけ。


こっちもムカつくだけで別にお前なんかに焦ってねーよ。


「音羽くん、あの……ありがと!ごめんね……」


音羽のほうを振り向いて、申し訳なさそうにぺこぺこと謝罪する今宵、ナイスタイミング。


今宵は残念ながら、俺の手が肩に回ってるだけでここまで赤面しちゃうからね。


ざまあみろ。


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