完璧人間サマは私に夢中。
もう、兎羽って呼んでくれないのかな。
ねぇ、なんて呼ばれたことはなかったはず。
名前を呼ばれなくて悲しいなんて、思っちゃいけないのになぁ。
「……。」
呼び止めてきたのは向こうなのに、返事が返ってこない。
かと言ってレオ先パイの方を見る勇気はなくて、立ちすくんだまま。
チクタクと時計の針だけが進む。
どれくらい経ったのかわからない。
「…後期も、書記やってね。」
「え?」
背後から聞こえた言葉が理解できなくて、つい振り返ってしまった。
無表情のレオ先パイと目が合う。
あぁ…、もうあの柔らかい表情を見ることはできないんだ。
なんて思って寂しくなる自分を封じ込めて、声を絞り出す。
「もう生徒会は…、やりません…。」
「駄目。」
すぐにハッキリと拒まれ、心臓のあたりがひゅっとする。
いつも優しくしてもらっていたから、こんなレオ先パイを知らないから。
怖い…。