いたずらな入江くん
「入江くん、今日休みじゃなかったっけ…?」
思わぬ出来事に心臓がドキドキ加速して、そう尋ねるのがやっとだった。
「木村の代わり。木村、昨日怪我したらしくて来れなくなったって」
「えっ、そうなの…!?」
木村くんは、隣の隣のクラスの男子だ。
うちで働いている高校生アルバイトは、わたしたち3人だけで、あとは大学生アルバイトとマスターと奥さんだ。
「あ、ふたり揃った?」
そのとき奥からシャーロックホームズの仮装をしたマスターがやってきた。
マスターはシャーロックホームズのファンらしい。
かなりクオリティが高い。
「じゃあ、さっそく着替えて!今日ふたりは、外でビラ配りを頼むね!」
にっこり笑顔でドン!と200枚ほど刷られたチラシをそこの台に置くマスター。