いたずらな入江くん
「マスター、そんなの聞いてないっすよ」
入江くんは若干不審そうな瞳をマスターに向けた。
「わ、わたしも聞いてないです!」
「ええ、木村に言ったんだけどな?伝わってなかった?」
き、木村くーんっ!!
そんな大事なことはちゃんと言っておいてよぉ!
しかも、勝手に承諾したんだろうな……!!
「まあ、頼んだよ!それじゃ!」
颯爽と去っていったマスター。
行かないでマスターあああ!
入江くんとふたりでビラ配りなんて、前代未聞なんだけど……!!
「……やるしかねーか」
混乱しているわたしとは対称的に、入江くんは“仕方ない”といった様子でつぶやいて更衣室に入っていった。