また君と会えるのなら
今現在
波瑠side

コンコン

ノックが病室に響き渡る

「どうぞ」

入ってきたのは、私と同じくらいの男の子。
確か…紺野大輝さん…だっけ?

「やあ、今日も来たよ、波瑠さん。」
「さん付けしなくてもいいですよ、大輝さん」
「じゃ、波瑠もさん付けと敬語、やめよっか。」

今日もまた、他愛のない会話をする。
私は、中学生の頃に事故にあい、記憶を失った…らしい。
私の目の前にいる大輝さん、私の幼なじみだったらしいけども…思い出せない…
というよりも、何故か私は、この人のことを直ぐに忘れてしまう。
この人が来る前だって、お母さんに名前を教えて貰っていたのだ。

「波瑠?どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
「そうか?あ、もう時間だから、俺帰るな。」
「わかった」
「また明日来るな、またな、波瑠」
「バイバイ」

大輝がいなくなった瞬間、静まり返る病室…
また今夜も、1人病室で過ごすのだ…
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