【完】STRAY CAT



「来週からテストあんじゃん」



「……そうね」



「テス勉ついでに息抜き」



……テス勉と息抜きは果たして一緒にできるものなのか。

わたしの場合は間違いなく「イエス」だけど、学生のほとんどは勉強とストレスがイコールで結ばれているような気がする。



「いいわよ。

ただし蒔の児童館が17時までだから、その前後には家に帰らないと」



「わかってるって。

夏休みに蒔とプール行くって約束したから、その日程もはやく決めたほうが良いだろ」



小学1年生はほかの学年に比べて、はやく終わる日が多い。

そうなれば必然的に家に帰る時間も早いし、さすがに蒔を家にひとりにしておくのは不安だから、学校帰りに児童館に通わせてる。




その帰宅時間が17時だ。

冬場は16時半とすこし早くなるけど、それでもずっとひとりにしておくのに比べれば断然良い。



「どこにする?

カフェとかファミレスとか、どこでもいいけど」



「ファミレスだと騒がしいから嫌。

できれば静かなカフェが良い」



「わがままだな……」



誘ってきたんだからそれぐらい良いじゃない。

とは、思っても言わないでおく。



「ハセばいばーい」と、今朝と同じように声をかけられる彼と並んで、学校を出る。

店はお任せしてハセについていけば、目的地は全国展開しているカフェチェーン店。



時間は時間だからお客さんは多いけど、ノートや本、パソコンなんかを広げているお一人様が目立つ。

だから店内は比較的静かで、わたしも文句を言わずに席についた。



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