【完】STRAY CAT
あ、だめだ。顔が赤くなる。
みるみるうちに、熱くなっていってしまう。
「……っ」
「ばーか、そんなんで照れんなよ」
「恭だって、顔赤いもん……」
わかってる。
ガラじゃないって思いながらも、恭は一生懸命こうやって言葉に出してくれるの。
「るせー。
……仕方ねーだろ。お前が可愛すぎんのが悪い」
それだけでもう、張り切ってよかったって思ってしまう。
恭がこうやって褒めてくれるから、可愛くしようと頑張ってよかった、って、すごく安心する。
恥ずかしくなって照れちゃうせいで何も言えなくなるけど、喜んでいるのは伝わっていると思う。
恭にこんなにもかわいいって言ってもらえて、よろこばないワケがない。
「恭も……いつも、かっこいいよ」
「………」
途切れる会話。でも離れない手。
言葉はなかったけど、恭が嬉しそうにしてくれているのが伝わってきた。
「……鞠」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
その瞬間一瞬だけくちびるが触れて、余計に顔が熱くなった。
こんな道端で、キス……っ。
いや、まわりに人はいなかったけど……!