【完】STRAY CAT



前言撤回。

なんでこう、一言多いんだろう。



「なら今度は、

糖分じゃなくてカルシウム用意するべきじゃない?」



言い捨てて、白いケーキにフォークを入れる。

本当にクリームで真っ白だから何のケーキかわからなくて、切っても断面にフルーツが入ってる様子はない。



「……あ、レモンだ」



チーズかなと思いながらぱくっとひとくち食べてみれば、口に広がったのはさわやかな酸味。

すぐにピンときて口に出せば、コーヒーのプラカップにストローをさしていたハセは「レモンクリームだってさ」と教えてくれた。



「美味い?」



問われて、こくこくとうなずく。

そんなわたしを見て、ふっと笑みをこぼす彼。




「そういうとこは素直だな」



「だって食べ物に罪はないでしょ」



「はいはい。

……普段からそれぐらい可愛けりゃいいのに」



ハセが顔を上げて、ガラス越しに見える外の風景に目を向ける。

広がる青空が延々とのびているのが綺麗で、わたしも無意識にぼんやりと外を見た。



「俺さあ、」



ちらり。

流した視線が、予想以上に綺麗に重なる。



「……やっぱ、お前のこと好きだわ」



< 12 / 351 >

この作品をシェア

pagetop