【完】STRAY CAT
前言撤回。
なんでこう、一言多いんだろう。
「なら今度は、
糖分じゃなくてカルシウム用意するべきじゃない?」
言い捨てて、白いケーキにフォークを入れる。
本当にクリームで真っ白だから何のケーキかわからなくて、切っても断面にフルーツが入ってる様子はない。
「……あ、レモンだ」
チーズかなと思いながらぱくっとひとくち食べてみれば、口に広がったのはさわやかな酸味。
すぐにピンときて口に出せば、コーヒーのプラカップにストローをさしていたハセは「レモンクリームだってさ」と教えてくれた。
「美味い?」
問われて、こくこくとうなずく。
そんなわたしを見て、ふっと笑みをこぼす彼。
「そういうとこは素直だな」
「だって食べ物に罪はないでしょ」
「はいはい。
……普段からそれぐらい可愛けりゃいいのに」
ハセが顔を上げて、ガラス越しに見える外の風景に目を向ける。
広がる青空が延々とのびているのが綺麗で、わたしも無意識にぼんやりと外を見た。
「俺さあ、」
ちらり。
流した視線が、予想以上に綺麗に重なる。
「……やっぱ、お前のこと好きだわ」