【完】STRAY CAT
そうやって強がろうとするのが、ハセの悪い癖だ。
目を合わせると先に逸らしたのはやっぱりハセの方で、それを見れば納得していないのは瞭然だった。
「……付き合ってるなら。
そういうとこも見せないと、絶対に疲れるわよ」
「……見せたら、お前俺のこと好きになれねえよ。
分かっただろうけど嫉妬深いし、そもそも俺自己評価低いし、どっちかというとめんどくせえと思うけど」
「あら、わたしだって大概だけど?」
見つめ合って、それからなんだか馬鹿らしくなってきて、ふたりで笑ってしまった。
この状況も、お互いの自虐も、色々間違ってる。
「あー……なんで俺のことそんなに好きにさせるかな」
はあっ、と。
わざとらしく落とされた割には、妙に明るいため息。
「ごめん乱暴なことして。……優しくするから」
「ほんとに優しくしてくれるなら、解放して?」
「無理。
この状況で普通に過ごせる男がどこにいんだよ」
ちゅっと戯れるように重なるくちびる。
その宣言通りわたしを部屋に連れ込んだハセは、優しく丁寧に触れてくれた。
「なあ、」
「んっ?」
「……俺の親に、彼女だって紹介していい?」