【完】STRAY CAT
「いいの? そんなこと言って。
みちるさんから、有益な情報もらっちゃったのに」
「………」
「『西澤は急遽、進学先が変更になったんだよ。
藤二の理事長と橘花社長の仲が良いって噂だから、おそらくそのあたりのコネクションで入れてもらったんだろう』」
橘花社長に言われて進学先を変えたのか……
それとも、別の理由なのか。
「『お前らが橘花のことに勘づくまで教えてやれなくて悪かったよ。……あと恭に伝言しておいてほしい。
OBのネットワーク上で、お前と西澤がまた接触してる話が広がってる。おそらく外部にもかなり知れ渡ってる』」
「………」
「『本気で大事なら、最後まで守ってやれ。
それと。3ヶ月後の橘花社長の誕生日パーティーで、"重大発表"が予告されてる。用心しろよ』……だって、さ」
やっぱりみちるさんは恭のこと大好きだよね、と。
先ほどと同じ言葉で締めくくったなずなが、椅子を回転させてパソコンの液晶を見やった。
「……彼氏いるみたいだけど、どうすんの?
あの彼、なかなか近づかせてくれないような気がするけど」
「だからって諦めても仕方ねーだろ」
「……、そうだね」
静かにため息を落とす。
こっちは本意でもねーのに一回手放してんだ。あいつに振られてんだから、怖いものなんてもう何もねーよ。
「……俺は色恋沙汰なんてごめんだけど。
大事なら守れっていうみちるさんの言葉には、賛成かな」
「言われなくても、ンなことわかってるっつの」