【完】STRAY CAT



「お前の彼女の噂が、広まってる」



「、」



「危険なのはいつもと変わらない。

ただ、派生して数が増えたら、把握しきれなくなる」



俺らだって、元々すべて把握できているわけじゃない。

でもある程度のチームの情報はなずなやあすみが完全に管理していて、近くに存在するチームは把握してある。



「裏で仕掛けられたら、分からねえからな。

……いずれはそれも上手く機能しねえだろうが、ひとまず今回潰す手前で引いたら、周囲のヤツらは様子見のために時間を置く」



「………」



「あえて潰さないことで何か考えがあるのかと思わせて、時間稼ぎのための応戦だ。

お前にこれを言ったら、あいつのことでムキになると思って黙っておいた。……が、お前がやることはいつもと変わらない」




相変わらず、こいつの頭ん中の作戦えげつねえな。

先代があすみをトップに指名したのはやっぱり正解だと思うし、副総長になずなを置いたのも正解だと思う。



なずなは頭脳派で指揮をとるから、喧嘩そのものに参加することは少ない。

今回も少人数での勝負とあって、なずなは倉庫で待機だ。



「任せたぞ、一番隊長」



「言われなくても、わかってるっての」



時刻は20時。

そろそろ行くかとあすみが呟いてから召集をかけ、一点に視線が集中する。



あすみがここで言うのは、いつも同じ言葉だけ。

それも先代から受け継いでるもんだし、藍華は伝統にこだわってる方だと思う。



「最優先は、全員が無事にここに帰ることだ。

目的よりも自分の身を優先しろ。ただし、仲間は守れよ」



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