【完】STRAY CAT
無数のバイクの音が轟く、夜の街。
たどり着いたのは、今はもう使われていない廃校。
そのグラウンドに停止する、大量のバイク。
……相変わらずあすみからなんも聞いてねーけど、結構な数だな。
藍華は一番隊から三番隊、そしてあすみの順に出発する。
グループ分けされていて、隊長は一番から順に、俺、チカ、暖。
言葉通り先陣を切って応戦するのが一番隊、補佐に回るのが二番隊。
三番隊は主にあすみと、普段は一緒にいるなずなの安全を守る役目を担ってはいるが、あすみもなずなも喧嘩強ぇからな。
「……1時間あれば余裕か」
どうせロクな勝負を仕掛けてくるヤツらじゃない。
……あと、あすみのことだからサツに連絡入れてあるんだろうな。
つーことは、あんま派手にやれねーし。
あくまで組織同士の喧嘩で収められる範囲にしとかねーと、あとであすみに口うるさく叱られて面倒だ。
「早速、幹部のお出ましか」
「悪いな、幹部は俺一人だけだ。 よく顔覚えとけよ?
──二番隊が駆けつけるまでに、全滅かもしんねーから」
盛大に俺が煽ったせいで、空気が張り詰める。
二番隊が来るまでの残り時間は、約10分。
全滅なんて、まあ到底出来るわけねーんだけど。
つーか直前で引けって言われてっから、全滅させらんねーんだけど。
「殺れ」
イラつかせることには成功したようで、低いその一言で敵が動き出す。
俺が正当防衛でしか戦えないのなら、向こうは先手必勝。
近くにいた赤髪が素早く仕掛けてきたことを瞬時に悟ってその拳を一度避ければ、仕返しとでもいうように殴り返す。
藍華に所属してからの時間は長いが、殴ったときの鈍い音は、何度聞いても気持ちのいいものではない。