【完】STRAY CAT



「恭」



暖に、チカの後ろにつくように言ってからその場を離れ、一度あすみの元へ一番隊を引き上げる。

涼しげなその瞳は油断を見せることなく、「いけそうか?」と俺に問い掛けた。



「もう片付くだろ。……ただ、」



「ただ?」



「ありえねーぐらい、何も起こってない」



素手に対し武器、なんてのもよくある。

今回はそれも無く、ただ普通の喧嘩、なんて、そんなの。



「……裏があるようにしか見えないな」




俺と同じことを思うあすみは周囲を視線で探る。

けれど敵の数が増える気配もなければ、武器が出る気配もない。



「二番隊も引き上げたよー」



「とりあえず、適当に数人残して三番隊も引き上げた。

……どうするよ~。このまま帰るか?」



暖の言葉に、あすみが「そうだな」と返す。

それからおもむろに向こうのトップへ歩み寄ったあすみは、何かを言ってからこっちに引き返してきた。



「恭、一番隊から引き上げろ」



裏があるのを、疑ってるらしい。

三番隊を最後に残すためか、あすみの指示通り一番隊を引き上げさせるためにバイクに跨る。そして、声を掛けてからグリップを捻り、アクセルを開けた時。



「っ、」



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