【完】STRAY CAT
「母は……大丈夫、なんですか?」
『………』
かえってこない返事。
頭痛を助長する、危機を知らせる警鐘。
『本当に……ごめんなさい』
ごめんなさい、って、なんですか。
わたしはただ、お母さんが無事なのかどうか、ただそれだけを、聞きたいのに。
『……さっきまで、息は、あったの』
じゃあ、今は?
今は、ないって言うの? どうして……?
「っ……な、んで、」
あたたかいものが、頬をすべり落ちていく。
まだ寒い冬の気温でそれは冷えて、冷たくなっていく。
触れられずに消えていった、お母さんの体温みたいに。
「っ、っふ……、」
『っ……まりちゃん、』
ママさんの声は、すごくすごく震えてた。
泣きたかったのは、きっとわたしもママさんも一緒だった。……だって。大切な人を、いきなり失ったから。
「っ、おか……さ、ん」