【完】STRAY CAT
「っ、ん……、恭、」
「どした? 痛い?」
「ううん、うれしい……」
泣きそうな顔をしながら、ぎゅっと俺の背に回した腕に、力を込める。
密着する分だけ、幸福感が増すような気がした。
繋がることで満たされるお互いの気持ち。
指を絡め合って、キスして、鞠のことだけ求める。
「ずっとずっと、いっしょにいてね……?」
結局、別れるまで、鞠のことを何度か求めたけど。
毎回、嬉しいと言って泣いてくれた。俺のことを本当に好きでいてくれることが、ちゃんと伝わってくるぐらい、幸せだと言ってくれた。
「……戻ってくるわけ、ねーよな」
目を覚ますと、襲ってくるのは頭痛と傷の痛み。
……あと、振られたっつー、現実?
俺はどうやら、あのまま部屋で潰れたらしく。
幹部室は無人。夏休みなこともあって誰かはいるんだろう。下から、ほんの薄ら声が聞こえる。つか、ソファで寝たせいで傷とか関係なく全身痛ぇ。
「きょーちゃん!」
暫し、そのままボーッとしていれば。
不意に勢いよく扉が開いて、目をキラキラさせたチカが部屋に入ってくる。びっくりすんじゃねーか、という俺の言葉は、チカには届いてないようで。
「一緒にプール行こ!!」
「……は?」