【完】STRAY CAT
「……派手にやられたな」
3人を見下ろして、彼はぽつりとつぶやく。
それから「おい」とおもむろに声をかけてきたかと思うと、鋭い視線でわたしを射抜いた。
「お前、さっき恭の名前出したろ。
んで、その前に髪色の話もしてたな」
「結構聞いてたんじゃない……」
……面倒なことになったな。
喧嘩せずに、なおかつそれ以上の被害を出さないことには成功したけど、別の面で面倒なことが起こってしまった。
まあ、首をつっこんだわたしが悪いんだけど。
なんて思っていたらようやく物陰から出てきたハセに、「お前バカだろ!?」と盛大に叱られる羽目になった。
やっぱり警察を呼んでくれたのはハセらしい。
「もういい。はやく帰るぞ」
「あ、うん……って、待っていま何時!?」
「17時半。とっくに蒔帰ってんだろ」
「うそ、急がなきゃ……っ」
何もないだろうけど、わたしが遅かったら蒔はきっと心配するだろうし。
慌ててその場を去ろうとしたら、御倉あすみは静かに「なあ」とわたしに声をかけた。
「ひとまずコイツらのことは助かった。
派手にやられてっから怪我は酷いだろうが、少なくともお前が顔を出したおかげでかなり防げただろうからな」
無視できずに振り返ったら、彼はそんなことを言う。
そしてどこか含んだように、口角を上げたかと思うと。