【完】STRAY CAT



「恭が、嫌じゃなかったら、だけど」



『不審な前置きするじゃねーか』



「……もう1回、プール行かない?」



今日行ったところなのに何言ってるんだって思われるかもしれないけど。

一緒に行った、というわけではないし。恭と話せたのは買い出しに行ったタイミングくらいで、後半はずっと蒔と遊んでくれていたし。



もうすこし、恭と遊んだりしたかったのに。

……なんて。言えるわけもないけど。



『俺が蒔にばっか構ってたから寂しかったのか?』



図星を突かれて、「別に」と冷たく返してしまう。

すこし羨ましかっただけ。寂しくないわよ。




『……俺はもっとお前と過ごしたかったけど』



「っ、」



甘い。

恭がこうやってわたしに接してくれることはわかっているけれど、何度でも恥ずかしくなってしまう。



顔に熱が集中してる。

それを悟られたくなくて「じゃあプールねっ」と誤魔化せば、電話越しの恭がふっと笑ったのがわかった。



『りょーかい。日にちどうする?』



「手帳見ないとわからないから、また連絡する。

……携帯の番号でさっき知り合い欄に出てきたから、メッセージでの連絡先、追加してもいい?」



毎回こんな風に電話のやり取りをするわけにもいかないし。

そろりと尋ねたら、『別に聞かなくても追加したら良くね?』とあっさり肯定の返事をくれた。



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