【完】STRAY CAT
「楽しかった! ありがとう、恭」
「……ん。俺も楽しかった」
パフェを食べて、そこら辺の店を少しウロウロ回って、ひさしぶりにデートっぽいことをした。
中途半端な時間にパフェを食べたから、夕ご飯を食べるほどお腹はすいてなくて、途中で恭にマンションまで送ってもらう。
スマホを見ると、20時過ぎ。
……ひさしぶりに、ママさんから着信が入ってる。
『鞠ちゃん、お久しぶりです。
蒔ちゃんは元気かしら?あのね、ちょっと気に掛かることを思い出したから、連絡したんだけど』
いつでも連絡して?と言われて、留守電が切れる。
すぐに掛け直そうとしたけれど、この時間にはもうお店が営業中であることに気づいて、明日掛け直すことにした。
手を繋いでくれている恭に、ぎゅっと抱きつく。
「……寂しい」
「ん、」
「帰っちゃうの?」
ついつい甘えてしまうわたしに、恭は苦笑して。
それから「今日は帰るよ」と宥めながらわたしのことを抱き締め返してくれた。
「またすぐ来る。……な?」
「うん……」
そっと額に落とされたキス。
顔を上げれば、とても自然にくちびるが重なった。