【完】STRAY CAT
んで、なんだかんだ心配していたらしい。
とはいえ鞠は元から"あいつ"と付き合ってる割に、どうにもぐらぐらしてたし。ちょっと強引に押せば、拒否はするもののその頬は赤く染まった。
「……なんかいい方向に進んだ?」
タブレットをなぞっていた手を一度止めて。
グラスに注がれたコーヒーに口をつけながら、なずなが俺を見る。
「……進んだっつーか、もうたどり着いた」
「もしかして手出した?」
「お前らは俺をなんだと思ってんだよ。
……あいつと別れたって言うから、付き合った」
恋人になる?と聞かれた瞬間の鞠を思い出す。
ちなみに、鞠が更衣室から出てきた瞬間からずっと、俺は落ち着かないままでいた。
一度見てるから知っているのに、スタイルの良さが際立つ水着姿で。
ゆるく巻いて結ばれた髪も、いつもはしないメイクも、それを纏った上で無意識の上目遣いも。
ぜんぶぜんぶ、可愛いから困る。
……そんな気も知らないで、くっついてくるし。
「え、付き合ったの!?
おめでとう恭ちゃん!!よかったねっ」
「……それはちょっと予想外。
なんかゴリ押しすれば付き合ってくれそうな感じはあったけど、ちゃんとケジメ着いたんだ」
「よかったじゃねえの。
俺らが一肌脱いでやったおかげだな~」
なんだかんだ、こいつらは優しいと思う。
……ま、今までこんな話が出てこねーグループだったから、おもしれぇなと思って遊んでるだけかもしんねーけど。
「……無事に話し合えたみたいだな」