【完】STRAY CAT
今まで黙っていたあすみが、口を開く。
「お前ら遠回りしてたからな」というその口ぶりからして、たぶん、家の事情とかもこいつは全部知ってたんだろう。鞠と連絡とってるし。
「……もう遠回りしねーよ」
「そうしてくれ。
なんかあればいつでも助けてはやるから」
暖が根掘り葉掘り、俺に話を聞こうとしてくる。
めんどくせーなと思いつつも悪い気はしないんだから、どうかしてる。
「……恭」
「ん?」
いつも通りすぐそばのコンビニで晩飯を済ませて。
各々好きにしている時、あすみが声を掛けてきた。
「……ここ3時間ぐらい、あいつから返信が無い。
いつもなら比較的すぐに返してくるのに」
「……俺もそれ気になってんだよ」
俺が鞠を送ったあと。
たまり場まで向かう途中に送ったメッセージが、未だに既読にもならないし返事も当然来ていない。
帰ってすぐ寝たか?とも、思うけど。
そんな眠そうな感じもなかったし、いつもならすぐにでも連絡を返してくると思う。風呂でも入ってるか、と思って少し様子を見てはいたけど、確かに3時間近く返信が無い。
「………」
なんか、すげーやな予感がする。
スマホを取り出しても、相変わらず鞠からの返事はない。
連絡先を呼び出して電話を掛けても、繋がらない。