【完】STRAY CAT
「……何してんだろーな、」
「今日、護衛つけてないんだよね?」
「ああ。……なんか変なことは無かったか?」
「ねーよ。それにマンションまで送った」
なのに何で、電話に出ないのか。
変な焦燥感が、幹部室の中に漂い始める。なずながタブレットを操作するのを見ながら何度も掛け直すが、一向に電話が繋がらない。
「……、おかしい」
鞠の普段の行動を考えると、こんな事はありえない。
今日蒔は泊まりに行っていて鞠がひとりであることを伝えると、不自然さが色濃くなる。
「……なあ?
"あいつ"が犯人ってことはねえの?」
「、」
「鞠ちゃんとこの間まで付き合ってたでしょうに。
……んで別れて違う男と付き合ってたら、そりゃあ、さすがになんか思ったりはするんじゃねえの」
鞠の元カレである"あいつ"。
確かにマンションまで見送ったが、その中の事情までは俺にもわからない。
その線がどうにも正しそうで、「行くぞ」とあすみの声で鞠のマンションまで出向くことになった。
俺のバイクは使えなくなったところだから、下っ端から1台借りて鞠のマンションまで飛ばす。
「………」
可能性は何もかも0じゃない。
いつでも電話に出られるようスマホだけはしつこく確認したけど、それでも鞠からの連絡はない。