【完】STRAY CAT







「、」



鞠のそばにいて、何時間経ったのか。

いつの間にかすこし寝てしまったようで、ふいに目を覚ますとカーテン越しの空は明るくなっていた。スマホで時刻を確認すれば、6時前。



指はしっかり絡まったままで。

鞠は未だに、よくねむってる。



「……おはよう」



頬を愛でるように指で撫でて。

座ったまま寝てしまったから凝り固まっている身体を、すこし伸ばしてほぐす。あまり寝た気はしないものの、これ以上二度寝できそうにもなかった。



「……ん、」



もぞもぞと、鞠が動く。

じっと見つめていたら、おもむろに持ち上がる瞼。




「恭……?」



「ん。はよ」



「ぉ、はよ……?」



まだ頭が起きていないらしい。

不思議そうにしていた鞠が、突然「あ、」と声を漏らす。それから、繋いだ手に力を込めた。



「……ずっといてくれたの?」



「ああ。……置いて帰れねーよ」



鞠が、ゆっくり身体を起こして。

目を合わせてきたかと思うと、ぎゅっと抱きついてくる。その姿は昨日の別れ際と変わらなくて。……ひとまず、落ち着いているようだ。



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