【完】STRAY CAT
◆
「、」
鞠のそばにいて、何時間経ったのか。
いつの間にかすこし寝てしまったようで、ふいに目を覚ますとカーテン越しの空は明るくなっていた。スマホで時刻を確認すれば、6時前。
指はしっかり絡まったままで。
鞠は未だに、よくねむってる。
「……おはよう」
頬を愛でるように指で撫でて。
座ったまま寝てしまったから凝り固まっている身体を、すこし伸ばしてほぐす。あまり寝た気はしないものの、これ以上二度寝できそうにもなかった。
「……ん、」
もぞもぞと、鞠が動く。
じっと見つめていたら、おもむろに持ち上がる瞼。
「恭……?」
「ん。はよ」
「ぉ、はよ……?」
まだ頭が起きていないらしい。
不思議そうにしていた鞠が、突然「あ、」と声を漏らす。それから、繋いだ手に力を込めた。
「……ずっといてくれたの?」
「ああ。……置いて帰れねーよ」
鞠が、ゆっくり身体を起こして。
目を合わせてきたかと思うと、ぎゅっと抱きついてくる。その姿は昨日の別れ際と変わらなくて。……ひとまず、落ち着いているようだ。