【完】STRAY CAT
第15章 ホワイト・ナイト
◇
目が覚めたら、知らない場所だった。
「こ、こ……どこ?」
なんだか頭がくらくらする。
恭にマンションまで送ってもらって、それ、で。
「っ!」
ガチャ、と扉が開いたかと思うと。
入ってきたその人は、記憶の最後にある人物。どこも拘束されていないのに、よくわからない恐怖で、何一つ動かなくなった。
「は、つせ、さん」
そうだ。エレベーターにこの人と乗ったあと。
何かハンカチのようなもので口を塞がれて、そのあとの記憶がない。……ここは、一体、どこ?
「目が覚めたみたいだね」
「ど、ういう、ことですか」
わたしが寝かされていたベッドと。
窓以外に、何も無いコンクリート作りの部屋。天井は打ちっぱなしになっていて、無骨なその雰囲気が、とても怖かった。
「どういうことって……
思い当たる節は、何もないかい?」
「………」
思い当たる、節。
初瀬さんに関わることで言えば、「紘夢と付き合って、別れたこと?」くらいしかない。……そもそもわたしは、この人と会ったこともほとんどない。
「そうだね。わたしの息子と、君は付き合ってた。
……しかも君は、うちの息子の婚約者だった」