【完】STRAY CAT
寝転んでいる恭のうしろにぴったりくっつくように寝転んでみたら、恭が振り返った。
くっついてるせいで顔がすぐそばにあって、それにおどろいたのか恭が一瞬目を見張る。
「恭と添い寝したいの」
「離れてても添い寝だ。くっつくな」
「胸当たってるから、
恭もさすがにドキドキするかなぁって」
「黙れ馬鹿いますぐ離れろ」
冷たく言って、恭がわたしから距離をとる。
その背中が遠くて、さみしい。……さみしくなってるのは、いつだって私の方。
でも強がっていたくて、わたしもぷいっと恭に背を向けた。
お互い背中合わせのかたちで寝転んでいたら、ふいに、お腹のあたりにぐっと腕が回ってきて。
「へ、」
引き寄せられて、背中に感じるぬくもり。
わけがわからなくて振り返ったら、真正面に恭の顔があって、息を呑む。
な、んっ……抱きしめられてる!?
「……顔真っ赤じゃねーか」
「恭のせいなんだけど……っ」
屋上で、だいすきな恭とふたりきり。
それはいつもの事だけど、恭がこうやってわたしのことを、ぎゅうっと抱きしめてくれてる。
それがすごくうれしくて、頬がゆるんだ。