【完】STRAY CAT
今まで、ひとりで何とかしなきゃって思ってたけど。
頼れば、お父さんはちゃんと助けてくれる。……わたしたち姉妹のことを、ちゃんと大事に思ってくれてた。
『それから、家のことだが。
……このままここに住みたければ住めばいいし、またふたりで暮らしたいと言うなら、不動産屋に行こう。好きなところを探して構わない』
「うん。ありがとう」
意地を張って溝を作っていたのはわたしだ。
ある程度和解した今、よくわかる。
『急かしたりはしない。
……鞠の気が向けば、いつでも帰っておいで』
「うん」
恭くんによろしく頼む、と。
忙しそうなお父さんとの電話が切れる。
「……大丈夫」
受けた傷は大きかったけれど。
その分、手に入れた幸せだって大きい。
「なんか独り言喋ったか?」
「恭。ううん、自分へのおまじない」
掃除を終えて戻ってきた恭にも手伝ってもらって、ご飯を完成させた。
それから、普段はひとりでしか使わないらしいダイニングで、一緒にご飯を食べた。
すこし寛いでから、本日二度目のお風呂に入って。
今度は自分で髪を乾かし、恭がお風呂から帰ってくるのを彼の部屋で待つ。
手元に戻ってきた白いスマホ。
……そろそろこれも、手放すべきかもしれない。