【完】STRAY CAT
第16章 エピローグ・あとがき
◆ Side Nazuna
「結局さー。
恭ちゃん以外の付け入る隙なんてなかったよねー」
──藍華、幹部室。
速報でスマホに流れてきた『2大グループ業務提携か』というニュース。未成年なことが原因なのか顔は出ていないものの、写真にうつるふたりが恭と鞠ちゃんなことはわかる。
速報であるように、恭の姿はここには無い。
「明日用事あるから」と昨日言っていたけど、いつものように鞠ちゃんとデートなのかと思ったら、婚約イベントらしい。
「とんだお騒がせカップルだよね」
「恭の方がかなり一方的かと思ってたけどよ~。
……なんだかんだ鞠ちゃん側もゾッコンだよねえ」
そういや、暖が「最近鞠ちゃん可愛くなった」と先日話していたのを思い出した。
見た目から可愛くなっているのもそうだけど、今まで距離を置こうとしていたのをやめたのか、随分性格も素直だし。
たぶんだけど、暖の好きなタイプだと思う。
……拗れそうだから、黙って見てるけど。
「っていうかいいの? あいつ金髪じゃん」
こんな派手な髪で、御曹司の婚約を発表していいものなのかと。
なぜか俺が心配していたら、幹部室の扉が開く。
「クソだりー。
誰が楽しくてニコニコしてなきゃなんねーんだよ」
「まあまあ。今後のためでしょう?」
金髪で、スーツなんていう珍しい格好で。
疲れ切ったようにため息をついてる恭と。
「っ、えー!? 鞠ちゃん……!!髪!?」
なぜか恭よりも派手なピンクの髪の、鞠ちゃん。