【完】STRAY CAT
「心配しなくても俺はお前が好きだよ」
「……うん」
「お前のことしか見てねーんだから」
頬を撫でて、くちびるを塞ぐ。
メッセージを削除したことで満足したのか、鞠の腕が背中へと回ってくる。それをいいことに鞠を求めると、恥ずかしそうに彼女は目をそらした。
「……満足したか?」
「してない。恭が言い寄られるの嫌だし。
……だからもっと安心させて、恭」
俺は鞠以外の女なんて、どうでもいい。
何度もそう伝えているけど不安そうな鞠にくちづけ、好きだと何度も言って、その身を抱き締める。
「……ほかの子、見ないでね」
「よそ見してる余裕なんかねーんだよ」
色っぽく身をよじる鞠を閉じ込めておくので精一杯。
俺が言い寄られるよりも、よっぽど男を惹きつけてしまうことを、鞠は自覚してない。
……そしてその度に、俺がひどく嫉妬してることも。
「んっ…、恭、すき」
熱に浮かされた戯言みたいに。
何度も何度も鞠が同じ言葉を返してくれる。
こういう時、鞠はいつもいっぱいいっぱいで。
あとで聞いても覚えてないことなんてザラにある。それくらい夢中になってくれているのを見ると、やっぱり好きでたまらない。