【完】STRAY CAT
「恭ちゃん、なんか背中赤くない?
虫にでも刺され……、ごめんなんでもないやー」
月曜日。学校で体育終わりの更衣中。
俺の真後ろで着替えていたチカにそう言われて、振り返る。そうすれば、チカはふるふる首を横に振ったけど。
「ちょっ、見せろ花蔵!」
クラスメイトたちに目ざとく気づかれ。
なぜか確認されて「お前なあ」と言われるハメになる。……そんなとこ虫に刺された記憶はもちろんねーし、思い当たるのは、鞠、だろうな。
「彼女だろ? 彼女とラブラブかオイ」
「……まあ週末泊まりに来てたしな」
基本的に鞠は甘えるのが好きでよくくっついてくるし。
俺が寝てる間にキスしたりだのなんだのしてくる時もあるから、まあ爪痕が残ったか意図的に鞠が自分のものだと印をつけたか。
……後者か。
あのメッセージに、相当やきもち妬いてたし。
「いーなー! かわいいカノジョがいて!」
「つーか写真ねーの? ねえねえ花蔵」
いい加減見たいんだけど、と。
クラスメイトたちに強く言われて、仕方なくスマホを取り出す。
「めずらしい。写真見せるの?」
なずなにもそう言われたけど。
ウチのお姫様が、随分怒ってたし。……まあ勝手な独占欲で今まで見せてこなかったのは俺だし。
適当にスマホの中から画像を選んで見せれば。
「想像の10倍美人」「え、可愛すぎじゃね?」「マジで付き合ってんの?」なんて予想以上の反応が返ってくる。