【完】STRAY CAT
「……え、恭?」
「彼女になんか用事?」
鞠の元へ歩いていき、その姿を後ろに隠す。
リカは「恭くん」とニコニコ笑ってるけど、その表情の奥がわからない。何を考えて、どうしてふたりが、今この場所にいるのか。
「ちょっとお話したくて声掛けただけだよ?」
「俺の彼女だって知ってて、だろ。
……なんか俺を通せない話でもあんのかよ」
「えー、それはちょっと」
はぐらかされて、眉間を寄せる。
「恭」とどこか不安そうな声で鞠に名前を呼ばれて、振り返って頭を撫でた。それから大丈夫か?と尋ねれば、彼女はこくこくと頷く。
「"恭くんとどんな感じなの?"って。
鞠ちゃんとお話して聞いてただけなのに」
「なんでそんなこと聞く必要があるんだよ」
「それは……」
鞠にこれ以上心配させたくねえし、不安にもさせたくない。
そもそもふたりが顔を合わせているということは、何らかの手段を使って鞠に接触したということだ。
「恭くん。
鞠ちゃんと別れてわたしと付き合ってよ」
「は?」
「って思うから、鞠ちゃんにどんな感じなのーって聞いてたんだけど。それじゃ答えにならない?」